毎年春、トーハンから「ミリオンぶっく」という統計資料が発表されます。累計発行部数が100万部を超えた絵本のリストで、今年も新たにミリオンセラーに仲間入りした絵本がありました。今回は、この資料をもとに、売れ続ける絵本の傾向を読み解いてみたいと思います。(※1)
ミリオンセラーの絵本、そのほとんどはロングセラー
トーハン「ミリオンぶっく2026」の第1位は『いないいないばあ』(※2)。累計764万部です。1967年の初版発行から、半世紀以上にわたって売れ続けています。
上位20作品に入っている作品の中で、2000年以降に刊行されたものは、『だるまさんが』『だるまさんと』『だるまさんの』(※3)の3冊のみ。それ以外はすべて2000年以前に刊行された作品です。
世代を超えて手渡されていく。そんな絵本の特性が、このデータからも見えてきます。
そんな中、注目したいのが、「だるまさん」3シリーズ(※3)です。年間販売数の伸びが、他の作品と比べても際立っています。
この作品は、赤ちゃんにはじめて手渡す「ファーストブック」の定番で知られ、「ブックスタート」(※4)が推進する、自治体が赤ちゃんと保護者に絵本を手渡す取り組みでも、よく選書されています。
最近の作品がミリオンセラーに育つ背景には、こうした社会的な仕組みとの連携もあるようです。
この「ミリオンぶっく」は、絵本を選ぶときの参考にもなります。読み聞かせや贈り物の選書に迷ったとき、ぜひ一度眺めてみてください。ミリオンセラーの絵本には、シンプルな構成、繰り返しの言葉、普遍的なテーマ。そして、世代を超えて手渡されていく仕組みなど、長く愛される理由があります。
絵本の刊行年は、主に本文の最終ページや裏表紙などにある奥付(発行情報欄)に掲載されています。次に絵本を手に取るとき、「この絵本はいつ生まれたのだろう」と、少し立ち止まって眺めてみてください。きっと新しい発見があると思います。
絵本の知識をもっと試してみたい方は、「クイズde絵本紹介」もぜひどうぞ。ミリオンセラーの作品も登場します。
※1トーハン「ミリオンぶっく2026」https://www1.ehon.ne.jp/content/cam/2026/millionbook.html
※2 『いないいないばあ』松谷みよ子 文/瀬川康男 絵/童心社/1967年
※3 『だるまさんが』『だるまさんと』『だるまさんの』かがくいひろし 作/ブロンズ新社/2008年・2009年
※4 NPO法人ブックスタートが推進する、赤ちゃんと保護者が絵本を通じて心触れ合う時間を持てるよう、自治体が絵本を手渡す取り組み。