印刷会社にいた私が、絵本専門士になったわけ

「絵本専門士」というと、保育士や図書館の司書、学校の先生を想像される方が多いようです。実際、2026年の統計でも、認定者の半数以上を保育・図書館・教育の分野で活躍されている方が占めています。でも私のバックグラウンドは、少し違います。認定当時、私は印刷会社に勤めていました。 絵本を「作る」側にいた私が、なぜ絵本専門士になったのか。今日はそのことについて書いてみようと思います。

絵本専門士の視点から見た、絵本の製造現場

印刷会社での最初の配属は、出版社から本作りの仕事をいただく営業の部署に配属でした。担当する得意先の中に児童書の出版社がいくつかあり、大人になって疎遠になっていた絵本と久しぶりに向き合うことになりました。そこで知ったのが、ページ数の少ない絵本の製造ほど簡単ではなく、むしろ手間がかかる作業だということです。その後スタッフ職に異動になり、絵本の製造にかかわる特殊な技術の紹介をしたり、絵本の仕事を増やすための方策を考えたりしたことで、ますます絵本への興味が深まっていきました。そして絵本の活動にも目を向けてみようと、地域のお話し会サークルに参加して、小学校や公民館で絵本を読み始めたのも、この頃でした。

そんなある日、上司から「こんな資格があるよ」と教えてもらったのが、絵本専門士です。印刷の仕事を通じて絵本の基本的な工程は知っていました。でも、絵本を「読む」こと、「伝える」ことへの学びは、また別のものでした。 絵本専門士養成講座では、絵本の絵の読み方や言葉の使われ方、作品が生まれた時代背景、読み聞かせに限らない、絵本を届けるさまざまな手法など、それまで意識していなかった絵本の読み方を学びました。印刷や製本の知識と、絵本専門士として得た視点が重なったとき、「これは面白い」、作る側だからこそ気づく絵本の魅力を伝えることができるかもしれないと……。

絵本専門士養成講座を修了した後、あらためて考えました。印刷会社や地域での読書活動の経験と、講座で得た視点。
これらを踏まえて絵本の面白さや楽しみを伝えていこう!
とってもシンプルな動機かもしれません。でも、絵本に親しむきっかけを届けたい、ただそれだけです。

認定を受けてから5年以上が経った今も、まだまだ道半ばですが、これからも絵本の楽しみ方を伝えていきたいと思います。少しずつですが、着実に。

(出典:国立青少年教育振興機構「絵本専門士の職業の割合」令和7年5月現在 https://www.niye.go.jp/services/ehon.html

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