絵本の印刷は、奥が深い

絵本の絵には、言葉と同じくらい、読む人の心を動かす力があります。
リアルな質感に思わず見入ったり、鮮やかな色彩に圧倒されたり、やわらかな色合いにほっと癒されたり。
でも、その表現に意外な工夫が凝らされていることは、あまり知られていないかもしれません。

絵本の印刷は、コピー機や家庭用プリンターで再現するものとはずいぶん違います。
例えば、絵本の原画には、色鉛筆や絵の具など、多様な描画材が使われているだけではなく、紙や布など画面となる支持体も多岐にわたります。ところが、主に絵本の印刷に用いられるインキは、たった4色なのです。印刷の工程では、4色それぞれのインキを、点として紙にのせます。この点の大きさと、4色の掛け合わせ具合によって、いろいろな色が表現され、原画を再現することができます。

絵本の印刷は、色を「作る」作業

絵本の原画は、高性能の業務用スキャナーで色の情報を読み取ります。4色の点に置き換える作業です。でも、それだけでは色を再現できません。例えば、人間が認識する色域と、印刷で表現できる色域には、実は大きな差があります。印刷で表現できる色域の方が狭いのです。また、絵本の原画の支持体の画面がオフホワイトで、印刷する用紙が純白であることも珍しくありません。
そして、もう一つ大事なことがあります。絵本の絵は、連続性のあるものです。前後の関係、そして全体の色のバランスを整えることも大切な作業です。
このような理由から、印刷をするためのデータを作る工程では、一つ一つの作品の事情を把握しながら、実際に印刷をした時の出来上がりを想定して、手を加えていきます。

今日は、印刷も気にしながら、絵本を読んでみませんか?いつもとは違う発見があるかもしれません。
印刷の視点で絵本をもっと楽しみたい方は、絵本講座でご一緒しましょう。
noteのマガジン「印刷と製本を知ると絵本はもっと楽しくなる♪」https://note.com/e_hon/m/m0ecae5376c02でも発信しています。

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